養子縁組について簡単にご説明すると

養子縁組とはそもそも何ですか?

養子縁組届の書き方の前に、養子縁組についてご説明します。
養子縁組とは、血縁による親子関係がない者や、嫡出親子関係がない者の間に、嫡出親子関係を作りだす法律行為です。
要するに、養子縁組が成立することで、養子は養親の嫡出子の身分を取得できます。
養子縁組は戸籍の届出(養子縁組届)をすることで成立します。また、養子が未成年者の場合、家庭裁判所の許可が必要です。
ここでは次の事項をくわしく解説していきます。
- 養子縁組届の書き方(見本あり)
- 養子縁組届の手続き
養子縁組届の書き方(見本あり)

それでは、届書の書き方を1つ1つ見本で解説していきます。
養子縁組届の書き方について、見本をご紹介しつつ解説していきます。
まずは以下の届書の見本をご覧ください。
(画像クリックで拡大表示します)
それでは、上記届出用紙の各項目ごとにご説明していきます。
届出年月日、届出先を書く
役所に届出をする年月日と、届出先(〇〇長殿)を書きます。
なお、届出年月日は一番最後に記載しましょう。届出用紙には本籍を記載したり、証人を探して書名押印してもらったりと、完成までになかなか時間がかかります。
養子の氏名、生年月日を書く
養子となる者の氏名、生年月日を書きます。氏名は戸籍に記載されているとおり、楷書で丁寧に記載します。
なお、養子となる者が男性の場合は左側の「養子」の欄に、女性の場合は右側の「養女」の欄に記載します。
生年月日については、一般的には和暦(昭和、平成、令和)で記載します。
養子の住所(住民登録しているところ)を書く
養子となる者の住所(住民登録している住所)と世帯主の氏名を記載します。
正確な記載が曖昧な場合などには、あらかじめ住民票の写しを取り寄せておくと良いです。
番地、番などは不要な方を横線で消します。
養子の本籍を書く
養子となる者の本籍を記載します。本籍が不明な場合には、役所で本籍記載のある住民票の写しを請求するか、その者の戸籍謄本を請求しましょう。
戸籍謄本は本籍地の役所にて請求できます。
養子の父母の氏名、続柄を書く
養子となる者の実父母の氏名と、続柄を書きます。続柄には長男、長女、二男、二女のように記載します。
父母が現在も婚姻関係にある場合には、上記のように母は氏を書かず、名前だけ記載します。
養子が入籍する戸籍を書く
養子となる者が入籍する戸籍について記載します。
養子縁組をすると、原則として養子は養親の戸籍に入ることになります(例外あり)。その場合には、「養親の現在の戸籍に入る」にチェックを入れ、その戸籍の本籍と筆頭者氏名を記載します。
養子の監護をすべき者の有無(養子が15歳未満の場合)
この欄は、養子となる者が15歳未満である場合にだけ記載します。
養子となる者が15歳未満の場合、その法定代理人(父母など)が代わりに届出人となります。
ここで、届出人の他に養子となる者を監護する人がいれば、それについてチェックを入れます。
届出人(養子)が署名押印する
養子となる者(届出人)が署名押印します。なお、この欄に署名押印するのは、養子が15歳以上の場合(養子自身が届出人になる場合)です。
養子が15歳未満のとき、この欄は空欄にし、この下の欄に法定代理人が署名押印します。
届出人の署名押印(養子が15歳未満)
養子となる者が15歳未満の場合には、その法定代理人(親権者である親・養父母、未成年後見人)が届出人となります。
この場合、この欄に届出人が署名押印します。
よくわからない場合には、届出先の役所窓口に問い合わせてみると良いでしょう。
養親の氏名、生年月日、住所、本籍を書く
養子の次は養親について書いていきます。
養親となる者の氏名、生年月日、住所、本籍をここまでの説明と同様に記載していきます。
その他の欄
養親となる者に配偶者がいる場合、養子縁組をするには配偶者の同意が必要です。
その他の欄に、「この縁組に同意する 配偶者 氏名 印」と記載します。
詳細は役所窓口にて説明があるかと思います。
新しい本籍の欄
この欄には「養親になる人が戸籍の筆頭者およびその配偶者でないとき」に、養子と養親が入籍する新しい本籍を記載します。
例えば、養親となる者が両親と同じ戸籍にいた場合、養子がその戸籍に入ると3世代が同籍することになりますが、これは法律上認められていません。
ですので、こうした場合には養親となる者がその戸籍から外れ、養子とともに新しい戸籍に入籍することになるのです。
届出人(養親)が署名押印する
届出人(養親)が署名押印します。
成人の証人2名が署名押印する
養子縁組届を有効に成立させるには、成人の証人2名が署名押印しなければなりません。
養子縁組届の作成において、ここが一番時間がかかる項目といえます。証人探しをしなければならないからです。

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日中連絡のとれるところを書く
日中連絡のとれる電話番号を記載します。届出に不備などがあった場合、役所から問い合わせの電話がくる場合があります。
養子縁組届の手続き(市区町村役場)にて

それでは養子縁組届の手続きについてご説明していきます。
まずは市区町村役場で養子縁組届の用紙を受け取ります。そして届書に必要事項を記入し、添付書類と一緒に提出します。
以下、具体的に解説していきます。
届出人
養子縁組届の届出人となるのは、養子および養親です。
養子が15歳未満の場合、法定代理人(親権者等)が届出人となります。
届出要件
養子縁組をする場合には、下記の要件を満たしている必要があります。沢山ありますが、とても大切なことなので、最後までお読みください。
- 養親となる者が成年に達していること
- 養子となる者が養親となる者の尊属または年長者でないこと
- 養子となる者が養親となる者の嫡出子又は養子でないこと
- 後見人が被後見人(未成年被後見人及び成年被後見人をいう)を養子とする場合には、家庭裁判所の許可があること
- 配偶者のある者が未成年者を養子とする場合には、養子が配偶者の嫡出子であるとき又は配偶者がその意思を表示することができないときを除き、配偶者とともに縁組をすること
- 配偶者のある者が養親又は養子となる場合には、配偶者とともに縁組をするとき又は配偶者がその意思を表示することができないときを除き、配偶者の同意があること
- 養子となる者が15歳未満であるときは、その法定代理人がこれに代わって縁組の承諾をすること。この場合に、法定代理人以外に養子となる者の父母でその監護をすべき者があるときは、その監護者の同意を得る必要がある(養子となる者の父母で親権を停止されているものがあるときも同様。)
- 養子となる者が未成年者であるときは、家庭裁判所の許可があること。ただし、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合を除く

なるほど、確かに1つ1つ大切なことですね。
必要書類・添付書類
次に養子縁組届の手続きで提出が必要な書類をご説明します。
必要書類 | 備考 |
---|---|
養子縁組届 | 市区町村役場の窓口で受け取る |
戸籍の全部事項証明書(戸籍謄本) |
養親・養子のそれぞれにつき1通必要 |
家庭裁判所の縁組許可の審判書の謄本 | 未成年者を養子とするとき(自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合を除く)又は後見人が被後見人を養子とするとき |
窓口に来た方の本人確認書類 | 窓口に来られた方の、顔写真が付いている官公署発行の本人確認書類(運転免許証、旅券(パスポート)、マイナンバーカード、写真付きの住民基本台帳カードなど) |
届出人の印鑑 |
上記は基本的な提出書類となります。市区町村によってはさらに書類の提出を求められる場合もあります。不明な点は市区町村役場の窓口に問い合わせてみましょう。
養子縁組届は証人2名(成人の方)の署名・押印が必要
養子縁組届では、成人の証人2名の署名・押印が必要です。届書の所定の欄に証人2名が署名・押印して初めて届書の提出ができます。
ですが次のような理由から、証人をなかなか見つけられない方が多いのが実状かと思います。
- 複雑な家庭事情から証人になってくれる人がいない
- 親戚や家族に世話をかけたくない
上記のような問題でお困りになることがないよう、当事務所では養子縁組の証人2名を代行しております。お気軽にご相談ください。
くわしくは以下のページでご紹介しております。
養子縁組届の手数料
手数料はかかりません。
養子縁組許可の申立て(家庭裁判所にて)
未成年者を養子とする場合、または後見人が被後見人を養子とする場合には、家庭裁判所での許可が必要です。
以下に手続きの概要を示します。
申立人 |
養親となる者 |
---|---|
申立先 |
養子となる者の住所地の家庭裁判所 |
必要書類 |
|
必要に応じて、さらに書類の提出を求められる場合があります。
申立書の記載例はブログ「家庭裁判所の手続き(養子縁組許可の申立て)」をご覧ください。
まとめ
養子縁組届の手続き、提出の必要書類、届書の書き方、記載例をご紹介しました。手続きや書類の取り寄せ方など、ご不明な点は市区町村役場の窓口に問い合わせてみると良いです。
証人2名が見つからない場合は当事務所の「養子縁組届・離縁届 証人代行サービス」をご利用くださいませ。

以上、養子縁組届の書き方、手続きについてでした。事前にお読みいただくことで、本番でお困りになることがなくなれば幸いです。